100均工具は本当に「使えない」のか?
DIYを始めようと思ったとき、まず目に入るのが100均工具。
「安いし、これで十分じゃない?」と思う方も多いでしょう。
ですが、ネットやSNSで「100均工具は使えない」「すぐ壊れる」といった声も見かけます。
果たして本当にそうなのか?実際に使ってみた結果を、DIY初心者目線で正直にレビューします。
「使えない」と言われる理由とは?
100均工具に対して「使えない」「やめとけ」といったネガティブな声が上がるのには、いくつか共通した理由があります。実際にDIYをやってみると、それらがどういう意味なのか体感としてわかってきます。
1. すぐ壊れる、耐久性が低い
一番よく聞くのがこれ。「使い始めてすぐに壊れた」「一度でダメになった」といった声です。
たとえば、100均のプラスドライバーを使ってみると、ネジを数本締めただけで先端が丸くなってネジ穴を潰してしまったということも。
筆者も実際、硬い木材にネジを締めていたところ、ドライバーの先が削れて空回りし始めた経験があります。
また、ペンチやニッパーなどは、力をかけるとグリップ部分がグニャッと歪んでしまったり、開閉がスムーズでなくなったりします。
「軽作業用」と割り切れば使えますが、毎日使うには耐えられないと感じる人も多いでしょう。
2. 精度が悪く、仕上がりが雑になる
工具は見た目が似ていても、精度ひとつで作業の質が大きく変わります。
たとえば、100均で買ったミニノコギリを使って木材をカットしてみると、刃の間隔が粗く、切った断面がボソボソになりやすいです。
真っ直ぐ切ったつもりでも、途中で斜めに曲がってしまったり、切断面がささくれてしまったりして、仕上がりの見た目に影響します。
六角レンチなども、わずかな寸法誤差があると、ネジ穴にうまくハマらず、力を入れた瞬間にネジ穴が変形してしまうこともあります。
「ちゃんと作りたい人」ほど、仕上がりの精度に対する不満が溜まりやすいんですね。
3. 安全性に不安がある(特に刃物類)
工具の中でも特に注意したいのがカッターやノコギリなどの刃物系です。
100均で売られているカッターは、見た目は普通でも刃の材質が柔らかかったり、折れやすかったりします。
筆者は、段ボールを解体中に刃が突然折れて飛んだことがあり、ヒヤッとした記憶があります。
また、ノコギリも歯が弱く、硬い素材に使うと刃先が欠けたり、変形したりすることも。
それを知らずに力任せに作業を続けると、破損した刃で手を切るなどのリスクも高まります。
つまり、「安く済む」代わりに、工具としての基本的な安全性が十分とは言えないのが現実です。
このように、100均工具が「使えない」と言われる背景には、壊れやすさ・仕上がりの不安定さ・安全性のリスクという、見逃せない要素が絡んでいます。
もちろん、用途を選べば使えるものもありますが、“安さだけで選ぶ”と痛い目を見ることもあるので注意が必要です。
100均工具の限界とは?
実際に使ってみると、「軽作業なら問題ないけど、本格的なDIYには不向き」というのが率直な感想。
たとえば…
- プラスドライバーの先端がすぐ摩耗する
- ペンチが硬い素材に負けて歪む
- カッターの刃がすぐ欠ける
こうした限界を理解しておけば、用途を割り切って使う分にはアリです。
実際に使ってみた!DIY初心者のリアルレビュー
「使えないって本当なの?」と気になった筆者が、実際に100均工具を購入してDIY作業を試してみました。今回使ったのは以下の4つのアイテムです。
- ダイソー|プラスドライバーセット
- セリア|六角レンチ
- ダイソー|ミニノコギリ
- セリア|ペンチ
ホームセンターの工具と比べてどれほど違うのか、初心者なりに感じたポイントを正直にレビューします。
1. プラスドライバーセット(ダイソー)
最初に使ってみたのは、定番のプラスドライバー。3本セットで110円という破格さに驚きつつ、実際に木材のネジ締めに使ってみました。
最初は問題なく使えたものの、5〜6本目のネジを締めたあたりで違和感が。
「なんか空回りしてる…?」と思って確認すると、ドライバーの先端がほんのり丸く摩耗していて、ネジの十字溝にフィットしなくなっていました。
結果、ネジ山が潰れて“ナメる”現象が発生。初心者の自分にはショックな体験でした。
ゆるめのネジならなんとかなりますが、少しでも硬かったり錆びていたりすると太刀打ちできません。
2. 六角レンチ(セリア)
次に試したのは六角レンチセット。バイクのカスタムパーツに使われる六角ボルトをいくつか外してみました。
こちらはサイズ展開も豊富で、一見問題なさそうでしたが…「ちょっと力を入れると滑る」。
レンチ側の精度が少し甘いのか、微妙にガタついてボルトの角が削れてしまいそうな感触がありました。
ゆるめのボルトなら使えますが、固く締まったネジには怖くて使えないという印象です。
3. ミニノコギリ(ダイソー)
軽作業用に買ってみたミニノコギリ。細い木材をカットするために使いました。
切り始めてすぐに感じたのが、**「歯が粗くて、まっすぐ切るのが難しい」**という点。
ガイドなしでは真っ直ぐ切りにくく、切断面はギザギザでささくれが目立ち、見た目もよくありません。
何より、ノコギリを引くたびに木が引っかかる感じがあり、作業中に疲れました。
DIY初心者にとって、**「まっすぐ切れない」「仕上がりが汚い」**というのはかなりのストレス要因になります。
4. ペンチ(セリア)
最後に使ったのはペンチ。電線のカットや金属ワイヤーの曲げ加工などに使ってみました。
握った感触は悪くないものの、固い素材に使おうとするとグリップ部分がズレてきたり、開きが不安定になったりします。
とくに力を込めたときにグニッと違和感のある動きを感じ、「このまま壊れるんじゃ…」という不安も。
柔らかい銅線程度なら問題ないですが、ステンレス製の針金や太めのビスをつかむ用途には向いていないと感じました。
結論:軽作業には“アリ”。でも本格的DIYには力不足
今回の検証でわかったのは、「軽い作業ならそれなりに使えるけど、ちょっと無理するとすぐ限界が来る」ということ。
日曜の午後に棚の調整をする、机の脚を少し締め直す――そんな用途には十分です。
でも「棚を一から作りたい」「屋外でガッツリ作業したい」といった本格的なDIYを目指すなら、物足りなさや不安を感じる場面が必ず出てきます。
つまり、“とりあえず試す道具”としてはアリ。でも“メインの工具”にするには少し心許ない、というのがDIY初心者としての率直な結論です。
100均工具を安全に使うためのポイント
DIY初心者がやりがちな“危ない使い方”
100均工具は確かに「手軽」で「とっつきやすい」存在ですが、使い方を間違えると危険です。とくに初心者がやりがちな失敗には注意が必要です。
◆ 例①:厚い木材を100均ノコギリで無理にカット
「このぐらい切れるでしょ」と思って、太めの角材に100均のミニノコギリを当ててゴリゴリ…。
実際にやってみると、途中で引っかかって進まない→力を入れる→手元がズレてケガしそうになるという危ないパターンに陥りがちです。
刃の精度や切れ味が足りないため、想定以上に力が必要になり、逆に危険なんです。
◆ 例②:ガチガチのネジに100均ドライバーで挑む
家具の補強などで固く締まったネジを外そうとしたとき。
100均のドライバーで無理に回そうとすると、先端が滑ってネジ山をナメてしまったり、手がすべって工具が飛ぶことも。
筆者も一度、勢い余って手のひらをドライバーの柄で強打して青アザになった経験があります。
「100円で済んだ」と思っても、体を傷めたら結局高くつくことになります。
「割り切り」が安全に使う最大のコツ!
100均工具を活かすには、“最初から万能を求めない”という割り切りの姿勢が大切です。
✔ 短時間・軽作業に限定する
たとえば「メガネのネジを締める」「ちょっとした小物の組み立て」など、力も時間もかからない作業には十分対応できます。
✔ 壊れてもいい前提で使う
「壊れたらラッキーじゃなかっただけ」と思えるくらいの気軽さで使うのがちょうどいい。
大事な作業や“壊したくない物”には使わないようにしましょう。
✔ 長時間や負荷の高い作業には使わない
たとえば家具作りや車のメンテナンスなど、力が必要な場面では迷わずしっかりした工具を使うことをおすすめします。
安全&ストレス軽減のために
100均工具は、「とりあえず試す」「予備として置いておく」「外出先用のサブ」として使うには最適。
でも、“これ一本でDIYを極める”には向いていないのが正直なところです。
無理せず、壊れそうなら無理に続けず、用途に合った道具を選ぶこと。
この“道具との付き合い方”が、DIYを安全に楽しく続けるための第一歩です。
100均工具では物足りない場合のおすすめ代替工具
初心者でも買いやすい低価格帯の工具
100均では物足りない…と感じたら、ホームセンターやAmazonなどで1,000円〜3,000円台の工具をチェックしてみましょう。
おすすめは…

32個入 ブラック/グレー

ミリ 1.5・2・2.5・3・4・5・6・8・10mm
9本組 ELHW09NL
いずれも品質が安定していて、初心者にも扱いやすいです。
プロも警告?100均で「買わない方がいい」工具とは?
100均工具の中には、「これはさすがに避けた方がいい…」とプロや経験者が口をそろえるアイテムも存在します。
理由は明確で、安全性や耐久性が求められる場面では“安さ”が命取りになることがあるからです。
◆ カッター・ナイフ類|刃が折れて飛ぶリスクも
100均のカッターは、見た目は普通ですが刃の材質が柔らかく、折れやすいものが多いです。
実際、筆者も段ボールを切っている最中に「パキッ」と刃が折れ、小さな破片が目の前をかすめた経験があります。
作業に集中しているときほど、刃の破損には気づきにくく、目や手を傷つける事故にもなりかねません。
カッターは安定した切れ味と、安全なロック機構がある製品を選ぶのが鉄則です。
◆ 電動工具用の替刃・アタッチメント|最悪、事故に直結
インパクトドライバー用のビットや、電動ノコギリの替刃などが100均でも売られていますが、精度や強度に不安が残るものが多いのが現実。
もしビットが折れたり、刃が飛んだりすれば、高速回転中のトラブルは一瞬で重大事故に繋がる危険性があります。
特に**電動工具の先端部品は“命を預ける部品”**と心得て、信頼できるメーカー品を選ぶことを強くおすすめします。
◆ 強い力をかける工具(ペンチ・レンチなど)|歪む・割れる・滑る
見落とされがちですが、力を加える工具ほど品質が重要です。
100均のペンチやモンキーレンチは、掴んだ瞬間は使えそうに見えても、グリップがズレたり、歯が噛み合わずに空回りしたりといった問題が起きがち。
なかには、金属部分に亀裂が入り、作業中にパキンと折れるような例もあります。
「工具を信じて力をかけた結果、壊れてケガをした」なんてことになったら、本末転倒ですよね。
命を守る道具は、安さより信頼性を優先!
100均工具が「悪い」というわけではありません。ただし、安全性・耐久性・精密性が重要な工具だけは、100円で済ませない方がいいということ。
- ケガや事故に直結する刃物系
- 高速回転とともに使う電動工具の先端部品
- 強い力がかかるハンドツール類
これらは「安物買いのケガ失い」にならないよう、多少値が張っても信頼できるブランド・製品を選びましょう。
DIYは「楽しく安全に」が基本。道具選びで安全も楽しさも変わってきますよ!
まとめ|100均工具は「割り切って使えばアリ」。でも頼りきりは禁物!
100均の工具は、「全く使えない」というわけではありません。
ちょっとした作業や緊急時、道具を試してみたいときには十分役立ちます。
ただし——
用途を間違えると、かえって作業が進まなかったり、イライラが溜まったり、最悪ケガをすることも。
だからこそ、最初は「お試し」でOK。
でも、DIYを趣味として続けたい、もっと上手になりたいと思ったときは、少しずつ“信頼できる道具”を揃えていくのがおすすめです。
100均工具は、あくまでも——
- ちょっとした作業に使う「サブツール」
- 壊れてもいい「予備」
- 出先や車内に置いておく「緊急用」
という立ち位置で付き合うのが、ストレスの少ない使い方です。
「安さ」と「使いどころ」のバランスさえ間違えなければ、100均工具は立派な戦力にもなり得ます。
賢く選んで、楽しく安全なDIYライフを送りましょう!