「電動ノコギリって、種類が多すぎてわからん!」
DIYを始めたばかりの人がまずつまずくのが、工具の選び方。特に「レシプロソー」と「ジグソー」、名前も見た目もなんだか似ているこの2つ、実はまったく性格が違う工具なんです。
この記事では、「レシプロソーとは何か?」をやさしく解説しつつ、ジグソーとの違いや使い所、庭の剪定にも使えるのか?といった疑問にも丁寧にお答えしていきます。
さらに、「セーバーソー」と呼ばれることもあるけど…実は同じ?という豆知識から、初心者にやさしいおすすめモデル、刃の選び方、失敗しない使い方まで網羅。
DIY初心者のあなたが「買って良かった!」と思えるよう、徹底的に寄り添ったガイドです。
レシプロソーとは?名前の由来と別名「セーバーソー」との関係
名前の意味と動作の仕組み(“レシプロ”=往復運動)
「レシプロソー」とは、ブレード(刃)を前後に小刻みに動かして、木材や金属、塩ビ管などを切断する電動ノコギリの一種です。
この「レシプロ(reciprocating)」という言葉は、英語で「往復運動する」という意味。
つまり、「レシプロソー」は、“ブレードが前後に動いて切る工具”という、そのまんまの意味なんです。
見た目はちょっとゴツくて、DIY初心者からすると「これはプロ向け…?」と感じてしまうかもしれません。でも、実は解体・粗切り・枝切りなど、ラフな作業に最適な万能工具。正確さよりもスピードやパワーを重視する場面で本領を発揮します。
「セーバーソー」との違いは?実は同じ工具だった!
実はこの「レシプロソー」、別名「セーバーソー(saber saw)」とも呼ばれます。
じゃあ、違うの?というと……
結論から言えば、日本国内ではほぼ同じものを指します。
違いがあるとすれば、
呼び名 | よく使われる場所 | 意味・由来 |
---|---|---|
レシプロソー | 日本・欧州 | reciprocating(往復運動)に由来 |
セーバーソー | アメリカ圏(ブランド名含む) | saber(刀)に似た形状から派生 |
日本では「レシプロソー」という呼び名が主流ですが、アメリカではMilwaukee社が「SAWZALL(ソウズオール)」というセーバーソーの代表モデルを販売しており、その影響で「セーバーソー」という呼び方も根強く残っています。
つまり、工具の構造としては同じでも、“呼び名”が違うだけというわけですね。
レシプロソーの歴史と特徴
誕生の背景と普及の流れ
レシプロソーが登場したのは、1950年代後半から1960年代初頭にかけて。
当時のアメリカで、**解体作業や建設現場で使える“荒くて強い電動ノコギリ”**が求められていたことがきっかけでした。
代表的なのはMilwaukee(ミルウォーキー)社の「SAWZALL(ソウズオール)」というモデルで、「これ1台で全部(ALL)切れるぞ!」というインパクトあるネーミングが話題に。現場作業員の間で爆発的に普及しました。
その後、各社が追随する形で製品をリリースし、
日本でも解体業者や内装工事の職人を中心に広がっていきました。
最近ではDIY用にコンパクトで扱いやすいモデルも登場し、“初心者でも持ちやすい解体工具”として人気が高まっています。
ジグソーや丸ノコとの違い
電動ノコギリには他にも「ジグソー」や「丸ノコ」などがありますが、レシプロソーはそれらと明確に役割が異なります。
工具名 | 特徴 | 向いている作業 |
---|---|---|
レシプロソー | 前後に刃が動く。ラフに切れる。 | 解体、剪定、塩ビ管のカット |
ジグソー | 下から刃が上下に動き、曲線も切れる。 | 木材の曲線カット、穴あけ、細工 |
丸ノコ | 円形の刃が高速回転。直線にスパッと切れる。 | 厚い木材の直線カット、大工仕事 |
特にレシプロソーの特徴は“ラフカット”に強いこと。
「木材をザクッと切り落としたい」「棚を解体したい」「太めの枝をまとめて切りたい」など、細かさよりスピードとパワー重視の作業にピッタリです。
レシプロソーでできること|切れる素材と用途
木材・金属・プラスチック・庭木などに対応
レシプロソーの魅力は、**「切れる素材の幅広さ」**にあります。
ブレード(刃)を交換することで、以下のような素材を切断できます:
切れる素材 | ブレードの種類 | 用途例 |
---|---|---|
木材 | 木工用ブレード(荒目) | 棚板・角材・フローリングなど |
金属(鉄・銅など) | 金属用ブレード(細目) | 釘・金具付きの木材、鉄パイプ |
塩ビ・プラスチック | 多用途 or 塩ビ用ブレード | 塩ビ管、樹脂パネルなど |
生木・枝 | 剪定用ブレード(荒く長め) | 庭木の剪定、枝払い、竹の処理 |
特に「釘の入った木材をそのまま切れる」「庭の太い枝もズバッといける」といった点で、
ジグソーや丸ノコでは難しい場面でも活躍してくれるのがレシプロソーです。
DIY現場での活用例(解体・庭の剪定・塩ビ管切断)
初心者でも取り入れやすい具体的なシーンを紹介します👇
✔ 家具や棚の解体|「壊す作業」に最適な頼れる相棒
DIYで意外と困るのが、“古い家具や棚を分解する作業”。
「ビスがなめてしまって外れない」「ネジがどこにあるのかわからない」「接着剤でガッチリ固定されている」——こんな時、ドライバーやバールでは埒が明かないことも。
そんなとき、レシプロソーがあれば一発です。
例えば、棚の脚や天板の根元に刃を差し込んで、バズバズッと切ってしまえば構造そのものをバラせます。
しかも、釘やネジごと切っても問題なし。
「壊す前提の作業」には、ジグソーより断然レシプロソーが向いています。
解体に慣れてない初心者でも、慎重にラインを決めて切れば意外ときれいにバラせますよ。
✔ 庭木・竹・枝の剪定|“電動剪定ノコ”として大活躍!
「庭の木の枝が伸びすぎて邪魔だけど、ノコギリでやると大変…」
そんな時にもレシプロソーの出番です。
剪定専用の荒めで長いブレードを使えば、太さ5cm以上の枝でもサクッと切断可能。
竹のような硬くて密度のある素材にも対応できます。
手ノコだと何度も押して引いてを繰り返す必要がありますが、レシプロソーなら
トリガーを握って数秒で“ズバッ!”と切断完了。
片手で扱える軽量モデルなら、脚立に乗っての作業でも安定感があります。
※ただし、生木は刃にヤニが付着しやすいので、作業後のお手入れもお忘れなく。
✔ 塩ビ管のカット|直線も曲線も手早くこなせる
DIY水道工事や雨水処理の排水配管などでよく登場するのが、塩ビパイプの切断。
専用のパイプカッターや手ノコでもできますが、作業効率を重視するならレシプロソーが圧倒的。
パイプに印を付けて、軽く押さえながらトリガーを引けば、真っすぐ&早くカット可能。
途中でパイプがぐらつかないように、木材や万力などでしっかり固定するのがコツです。
また、ちょっと曲がったところで接続は問題ない場合も多く、「完璧を求めなくていい作業」にはまさにうってつけです。
このように、レシプロソーは「精密さ」よりも「スピード・力強さ・万能さ」に優れた電動ノコギリ。
「こんなところも切れるの!?」と驚くほど、使い道は広がります。
ジグソーとの違い|どっちが初心者に向いてる?
レシプロソーを検討する初心者が必ずと言っていいほど迷うのが、「ジグソーとどっちを買えばいいの?」という問題。
見た目は似ていても、目的も得意分野もまったく違うんです。
切断の方向性・精度・曲線カットの可否
まずは構造と動きの違いから簡単にまとめると:
特徴 | レシプロソー | ジグソー |
---|---|---|
刃の動き | 前後に動く(レシプロ=往復運動) | 上下に動く |
精度 | ラフ(ざっくり) | 精密(線に沿ってカットしやすい) |
切断方向 | 横向き・斜め・上向きなど自由 | 主に下から上(下向きは苦手) |
曲線カット | 基本的に直線向き(曲線不可) | 曲線・丸穴など自由な切断が可能 |
切れる素材 | 木材・金属・枝・塩ビなど幅広い | 主に木材・合板など(ブレード次第) |
🔧 要するに:
- ジグソーは“線に沿って切る工具”。家具づくりやカーブを活かした作品に◎
- レシプロソーは“壊す・ざっくり切る工具”。解体や剪定、塩ビカットに◎
使い分けの目安と選び方のポイント
✅ ジグソーが向いている人
- 木工DIYで「作品を作る」ことが目的
- 曲線や角穴など、複雑な切り取りがしたい
- 合板や集成材をきれいに切りたい
- 精度や見た目を重視したい
→ 例:棚の背板に排気ダクト用の穴を開ける、曲線の飾りをつける
✅ レシプロソーが向いている人
- 家具や柱を「解体・切断」したい
- ベランダや庭で「太い枝」を切りたい
- 塩ビ管や金属パーツなども切りたい
- スピードとパワー優先、とにかく“ズバッと切りたい”
→ 例:古い棚を丸ごと壊したい、竹をまとめて処理したい、パイプを手早く切りたい
結論:「どっちが初心者向けか?」は目的次第!
よく「初心者にはジグソーの方がやさしい」と言われますが、それは“モノづくり派”の話です。
逆に、
「とにかく家をいじりたい」「不要なものをバンバン解体したい」「塩ビ管や枝を切ることが多そう」
という人には、レシプロソーのほうが断然便利で楽しいはず。
特に「1本でいろんな素材が切れる」という点は、工具を揃え始めたばかりの初心者にはありがたいポイントです。
レシプロソーの使い方|基本の使い方と安全のコツ
「レシプロソーって扱いが難しそう…」と感じる方も多いかもしれませんが、使い方は意外とシンプルです。
ただし、**“パワーがあるぶん、ちょっとした油断でケガや材料破損につながる”**のも事実。
正しい使い方と注意点をしっかり押さえて、安全にDIYを楽しみましょう!
使い方の流れ(刃の取り付け・切り始め・注意点)
① ブレード(刃)の取り付け
まずは電源を切った状態でブレードを装着します。
最近のモデルはワンタッチ式が増えており、工具なしで交換できるものもあります。
- 金属用/木材用/剪定用など、用途に合ったブレードを選ぶ
- 装着時は奥までしっかり差し込み、カチッと固定されるまで確認
- 刃が上下逆にならないように注意!
🔧 ブレードは作業前に毎回チェック!
「グラつきがないか」「摩耗していないか」を確認しましょう。
② 切る対象にあてる・当てながらトリガーを引く
- 切りたい素材にしっかりとブレードを当ててから、スイッチ(トリガー)を入れます
- **浮かせた状態で刃を動かすと激しく跳ねる(バウンド)**ため、必ず先端を密着させてから起動!
📍コツ:
「ピボットシュー」と呼ばれる本体先端の金属部分を、材料に押し当てながら切るとブレが抑えられます。
特にパイプや枝など丸い素材では、ぐらつきを抑えることが重要です。
③ 焦らずまっすぐ進める
力まかせに押すのではなく、刃の動きに任せて、ゆっくりと材料へ進めていくのがポイント。
途中で止まっても焦らず、ブレードの熱を冷ましつつ少し休ませるとスムーズに切断できます。
初心者が気をつけるべきこと(振動・保持の仕方)
レシプロソーは、他の電動工具に比べて振動が大きめ。初めて使うと、驚く人も多いです。
✅ 両手でしっかり保持する
片手で使える軽量モデルもありますが、最初は必ず両手で持つのが基本。
「刃が跳ねる→本体が振れる→切り口がブレる」…という負の連鎖を防げます。
✅ 材料の固定は必須
素材がグラグラしていると、振動で押し負けて思わぬ方向に切れてしまいます。
木材や塩ビ管などはクランプや万力でしっかり固定してから切りましょう。
✅ ゴーグル・手袋はマストアイテム
特に金属や剪定作業では破片が飛ぶことがあります。
安全メガネと滑り止め付き手袋は必ず準備しましょう。
📌 ワンポイントアドバイス:
レシプロソーは「手ノコと違って、押し引きの力加減が不要」。
だからこそ、振動・固定・姿勢を意識することで、驚くほど快適な作業ができるようになります。
ブレード(刃)の種類と選び方
レシプロソーの性能は、ブレードの選び方次第で大きく変わります。
「なんかうまく切れない…」という時は、工具よりも刃が間違っていることの方が多いんです。
木工用/金属用/剪定用などの違い
ブレードは「切る素材」によって、以下のように使い分けます:
ブレードの種類 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
木工用 | 歯が大きく粗い(荒目) | 角材・合板・パレットなどの木材 |
金属用 | 歯が細かく密集、耐久性重視 | 鉄パイプ・釘・アルミ・銅など |
剪定用 | 長く湾曲し、枝の切断に特化 | 庭木・生木・竹などの剪定 |
多用途(バイメタル) | 木と金属の両方に対応、万能型 | 木材+釘、DIY全般 |
塩ビ用 | やや細め、抵抗が少なくまっすぐ切れる | 塩ビパイプ・プラスチック板など |
🔧 ポイントは、**“細かい素材ほど歯が細かくなる”**こと。
木→金属→プラの順にブレードは細かくなっていきます。
交換方法とよくある失敗例
最近のレシプロソーは、ワンタッチで刃が交換できるモデルが主流です。
でも、油断するとありがちな失敗もあるので要注意です👇
❌ ありがちな失敗1:刃が奥まで刺さってない
→ しっかり「カチッ」と音がするまで差し込みましょう。
中途半端な装着は作業中に外れる原因になります。
❌ ありがちな失敗2:用途に合わない刃を使っている
→ 木を金属用で切ると「全然進まない…」という状況に。
逆に金属を木工用で切ると、あっという間に刃が摩耗します。
❌ ありがちな失敗3:使い古した刃をそのまま使ってる
→ 見た目は平気でも、切断力が落ちていたり、刃が欠けていたりします。
切れ味が悪いと「力任せに押してしまってケガの原因」にも。
📌 ワンポイント:
ブレードは「消耗品」です。無理に長持ちさせようとせず、
サクサク切れなくなったら交換を検討しましょう。
Amazonなどでは10枚入りセットで安く買えることも多く、複数本の使い分けが快適なDIYのコツです。
初心者におすすめのレシプロソー3選(+1選)
レシプロソーは用途も性能もピンキリ。
初心者が最初の1台を選ぶ時は、**「軽くて扱いやすい」「刃の交換が簡単」「対応ブレードが豊富」**なモデルを選ぶと失敗しにくいです。
ここでは、DIY初心者におすすめのモデルを3つ+ミニサイズの番外編を紹介します!
✅ 1. マキタ JR101DSH|軽量&コンパクトで扱いやすさ抜群
- バッテリー式(10.8V)
- 全長355mm/質量1.1kg(バッテリ含む)
- ワンタッチブレード交換・無段変速スイッチ
- 木材・塩ビ管・庭木の剪定にも対応
🔰 初心者に特におすすめ!片手でも扱えるサイズ感ながら、パワーも十分。
軽さ・静音性・操作性のバランスが取れており、「とにかく最初の1本が欲しい」人には間違いなしの一本。
✅ 2. HiKOKI(旧日立)CR13V2|本格派も満足のパワーモデル
- コード式(AC100V)・無段変速
- 質量約3.2kg/全長435mm
- 軽金属・釘入り木材・鋼管まで対応
🔧 本気の解体作業にも耐えうるモデル。
やや重めですが、そのぶん「とにかくパワーが欲しい」「一軒まるごとDIYするぞ!」という方には頼れる存在です。
✅ 3. BOSCH(ボッシュ)GSA 18V-LI C|海外製の万能コードレス
- 18Vバッテリー式・プロ機寄りの性能
- 木材/金属/塩ビ/枝切りすべて対応
- SDSシステムで刃の交換も簡単
🌍 海外製らしいデザインとパワーを兼ね備えたモデル。
価格はやや高めですが、長く使える1台が欲しい人におすすめです。
🎁 番外編:SK11 充電式レシプロソー SGR-11V
- コンパクトでかわいい“ミニレシプロソー”
- USB充電式・ブレード付属
- 価格もお手頃(5,000〜7,000円前後)
👶 軽作業向きのサブ機や、お試し感覚で1台持ちたい人に最適。
「庭木の剪定を年に数回だけやる」「ちょっとしたDIYだけ」といったライトユーザーにおすすめ。
📌 選び方のポイント:

まとめ|「ジグソーじゃなくてレシプロソーで良かった!」と言える作業とは?
レシプロソーは、精密なカットには不向きですが、それを補って余りある**“自由度とパワー”**を持った工具です。
✅ ジグソーでは難しい、レシプロソーが輝く場面
- ビスが外れない古い棚を強引に切って解体するとき
- 生木や太い枝を素早く剪定したいとき
- 塩ビ管や鉄のパイプを一気に切りたいとき
- 金具付きの廃材を丸ごと処理したいとき
- とにかく「細かいことは気にせず切りたい!」とき
✅ こんな人に向いています
- 木工DIYを始めたいけど、「作る」より「壊す」ほうが多そう
- 家の中や庭のメンテナンスに使える電動工具を探している
- 1台でいろんな素材に対応できる“万能ノコギリ”がほしい
- ジグソーや丸ノコのような直線・曲線精度は求めていない
レシプロソーは、“工具を使って何かを壊す楽しさ”を教えてくれる存在でもあります。
初めて使ったときに感じる「うおおっ、これは楽しい!」という感覚は、DIYの世界にグッと引き込んでくれるはず。
もしあなたが、
✔ どの電動ノコギリを買うか迷っている
✔ 精密より実用重視
✔ 家のメンテ・解体・剪定などに幅広く使いたい
というなら、レシプロソーは間違いなく買って損はない1台です。
次は「Amazonで買えるおすすめモデル」や「作業に必要な防護グッズ」もチェックして、
安心・安全なDIYライフをスタートさせましょう!