DIYを始めると、必ず一度はこんな瞬間に出会います。「あれ……思ってたのと違う」「なんで、うまくいかないんだろう」。ネジが回らない、まっすぐ切ったはずなのに曲がる、穴をあけたらズレている。でもそれは、あなたのセンスや才能の問題じゃありません。DIYを始めた人が、ほぼ全員一度は通る、ごく普通のつまずきです。
ToolsStepではこれまで、「どうすれば上手に作れるか」よりも、「困ったとき、どう抜け出せるか」に向き合ってきました。DIYは失敗しない人が上達するのではなく、困ったときに立て直せる人が続くものだからです。
この記事では、DIY初心者が必ず一度は困るポイントを10個に整理し、それぞれについて「次に何を考えればいいか」「どう対処すればいいか」をまとめています。今まさに手が止まっている人も、これからDIYを始める人も、“困った”を前提に読むことで、失敗はちゃんと減らせます。
DIY初心者が「困る」のは当たり前
DIYに慣れている人ほど、実は「困る瞬間」を何度も経験しています。というのも、DIYは測る・切る・穴をあける・固定する・締めるといった作業の積み重ねで、どれも最初から完璧にできるものではないからです。初心者のうちは、どこで失敗したのか分からない、何を調べればいいか分からない、どう立て直せばいいか分からない、この3つが同時に起きて「詰んだ…」と感じやすくなります。
でも、うまくいく人と途中でやめてしまう人の違いは、器用さや工具の値段ではありません。困ったときに、戻ってこられる知識があるかどうか、それだけです。この先に出てくる10個のつまずきは、きっとどこかで「これ、自分だ」と感じるはず。大丈夫、困るのは、ちゃんと前に進んでいる証拠です。
① ネジがとにかく回らない・外れない
DIYで最初にぶつかる「困った」は、ほぼ間違いなくこれです。ネジが回らない。力を入れても動かない。むしろ回そうとすればするほど嫌な感触が出てくる。初心者の頃は、「え、ネジってこんなに固いもの?」と戸惑う人が多いと思います。
この時点で知っておいてほしいのは、回らないネジ=失敗ではないということ。実際には、サイズの合っていないドライバーを使っている、押す力が足りていない、ネジ自体がサビや固着で動かなくなっている、こういった原因が重なっているだけのことがほとんどです。DIYに慣れている人ほど、回らないネジに出会う頻度はむしろ増えます。それだけ色々な状況に触れているということなので、ここで慌てる必要はありません。
ただし、この段階で一番やってはいけないのが「力でねじ伏せようとする」こと。ここで無理に回すと、次の段階――いわゆる“舐めたネジ”に進んでしまいます。回らないと感じたら、まず一度手を止めて、ドライバーのサイズが合っているか、しっかり押しながら回せているかを確認する。それでもダメなら、潤滑剤を使う、軽く叩いて固着をゆるめるなど、「回らない理由」を一つずつ潰していくのが正解です。
最初は「ネジは力で回すもの」だと思いがちですが、実際はその逆。ネジは、条件が揃えば驚くほどあっさり回ります。回らないのは、あなたの腕が悪いからではなく、準備がまだ整っていないだけ。この感覚が分かってくると、ネジ作業への苦手意識は一気に減っていきます。
ネジが回らないときの原因や、力を入れる前に確認すべきポイントについては、こちらで詳しく解説しています👇
② ネジを舐めてしまって絶望する
「回らないな」と思って少し力を足した瞬間、ズルッと嫌な感触が出る。ドライバーが空回りして、ネジの溝が一気に浅くなる。この瞬間の絶望感は、DIYをやったことがある人なら誰でも一度は経験しているはずです。頭の中で「やっちゃった……」という声が鳴る、あれです。
でもはっきり言っておくと、ネジを舐めるのは珍しい失敗じゃありません。むしろ、DIYを始めた人がきちんと作業しようとしている証拠でもあります。サイズの合っていないドライバー、押し込み不足、固着したネジにそのまま力をかけた、このあたりが重なると、誰がやっても簡単に舐めます。器用か不器用かの問題ではありません。
ここで大事なのは、舐めた瞬間にどう動くか。多くの人は「まだいけるかも」と思って回し続けてしまいますが、これが一番まずい。一度舐め始めたネジは、回せば回すほど状況が悪化します。だから、この段階でやるべきことは“攻める”ことではなく、“止まる”こと。ドライバーを置いて、状況を冷静に見る。それだけで被害はかなり抑えられます。
舐めたネジは、正直なところ普通のドライバーではもう勝てません。でも安心してください。潰れ具合に応じて、ネジ外しビットやネジザウルスのような専用工具、噛み方を変える方法など、ちゃんとした逃げ道は用意されています。ポイントは「何とかなる手段がある」と知っていること。これを知っているだけで、舐めた瞬間の焦りは半分以下になります。
初心者の頃は、ネジを舐めると「もうDIY向いてないのかな」と感じがちです。でも実際には、舐めたネジを一度リカバリーできるようになると、ネジ作業への怖さは一気に減ります。失敗を一度経験して、戻り方を覚える。その積み重ねが、DIYを続けられる人とやめてしまう人の分かれ道になります。
実際に舐めてしまったネジの外し方や、状態別のリカバリー方法は別記事でまとめています👇
③ まっすぐ切っているつもりなのに曲がる
DIYで次にぶつかりやすいのが、「ちゃんと線を引いたはずなのに、切り終わったら斜めになっている」という問題です。最初はまっすぐ進んでいたのに、途中から少しずつズレていき、気づいたときにはもう戻れない。この経験、木工でも金属でもほぼ確実に一度はやります。
これも「手先が不器用だから」と思われがちですが、原因はほとんどの場合、道具と体の使い方のズレです。ノコギリやジグソーは、刃をコントロールしているつもりでも、実際には自分のクセに引っ張られやすい工具。特に最初の数センチで刃が少しでも傾くと、そのまま流されるように曲がっていきます。
ここでやりがちなのが、「戻そうとして無理に修正する」こと。でも実際には、途中から軌道修正しようとするほど、刃は暴れてラインはさらに崩れます。大事なのは、切り始めで“進む方向を決める”ことと、刃を無理に誘導しないこと。まっすぐ切ろうと意識しすぎるほど、逆に力が入り、結果として曲がります。
まっすぐ切れなかったからといって、すぐに失敗と決めつける必要はありません。ガイドを使う、当て木をする、最初は浅く切り込むなど、後から立て直す方法はいくらでもあります。このあたりの具体的なコツや道具の選び方についても、後半でまとめて解説しますが、まず覚えておいてほしいのは一つだけ。**「曲がるのは普通。原因は必ずある」**ということです。
ノコギリやジグソーでまっすぐ切るための具体的なコツやガイドの使い方はこちら👇
④ 穴をあけたら斜めになった
切断と並んで、DIY初心者がかなりの確率で心を折られるのが「穴あけ」です。ドリルをまっすぐ当てたつもりなのに、裏側を見ると明らかにズレている。ボルトが通らない。ビスが傾く。ここで初めて、「穴って、思ったよりシビアなんだな…」と気づきます。
でもこれも、感覚の問題ではありません。ドリルは回転しながら素材に食い込んでいくため、最初にわずかでも傾くと、その角度のまま掘り進んでしまう工具です。途中で「修正しよう」と角度を変えると、刃先は逃げ場を探して余計にズレます。結果、入口も出口もグズグズになってしまう。これは誰がやっても起きる現象です。
初心者がやりがちなのは、「ドリルを支えているつもり」になっていること。実際には、手首だけで角度を保とうとしていて、体全体が安定していないケースがほとんどです。特に電動ドリルは回転トルクがあるので、少し力が入ると、自然に斜めへ引っ張られます。ここで無理に押し込むと、穴はさらに暴れます。
大事なのは、最初の一瞬。狙った位置に軽く当てて、「まっすぐ入った」と確認してから深く掘ること。いきなり全開で押し込まない。それだけで成功率は大きく変わります。どうしても不安なら、下穴をあける、ガイドを使う、当て木をするなど、失敗を防ぐ逃げ道はいくらでもあります。
穴が斜めになったからといって、DIYに向いていないわけではありません。むしろ、ここで「次はどうすればいいか」を知ることが、作業の精度を一段上げてくれます。具体的なジグの使い方や、まっすぐ穴をあけるためのコツは後半で詳しく触れますが、まずは**「穴あけは最初がすべて」**という感覚だけ、ここで持ち帰ってください。
ドリルで穴をまっすぐあけるコツや、初心者向けのジグについてはこちらで詳しく解説しています👇
⑤ 寸法が合わない・ズレる
「ちゃんと測ったはずなのに合わない」。DIYをやっていると、これも必ず一度は経験します。切り終わって合わせてみたら数ミリ足りない、逆に長い。左右で同じ長さのつもりが微妙に違う。ほんの数ミリのズレなのに、完成度が一気に下がったように感じてしまうポイントです。
この手の失敗は、だいたい「測る → 印を付ける → 切る」という流れのどこかで起きています。特に多いのが、測った寸法と、切る位置の認識がズレているケース。メジャーのゼロ点をどう当てているか、線のどちら側を残すつもりで切っているか、そこが曖昧なまま進めると、誤差は簡単に出ます。
もう一つは、「測るのは一回でいい」と思ってしまうこと。実際には、材料の反りや曲がり、当て方のクセで、同じ寸法でも数ミリ変わることは珍しくありません。慣れている人ほど、切る直前にもう一度測るという確認を入れています。これだけで「やってしまった…」はかなり防げます。
寸法ズレが起きると、「自分は細かい作業に向いてない」と感じがちですが、これは精密さの問題ではなく段取りの問題です。ノギスやスコヤ、当て木など、ズレを減らすための道具と考え方を知っているかどうか。その差が結果に出ているだけ。ズレた経験があるからこそ、次に何を確認すべきかが見えてきます。
数ミリの失敗で気持ちが折れそうになったら、思い出してほしい。DIYは一発勝負じゃありません。寸法が合わなかった理由を一つ理解できれば、それは次の成功につながる経験です。
寸法ズレを減らす測り方や、ノギスの使い方ついてはこちら👇
⑥ 材料がうまく固定できない
DIYをやっていて地味にストレスが溜まるのが、材料が動いてしまう問題です。切ろうとした瞬間にズレる、穴をあけようとしたら跳ねる、ネジを締めたら位置がずれる。作業そのものより、材料を押さえている時間のほうが長いと感じたことがある人も多いと思います。
初心者のうちは、「手で押さえれば大丈夫」と考えがちですが、実際にはそれが一番危険で、一番うまくいきません。材料は少しの力でも動きますし、片手で支えた状態では工具の力に負けやすい。結果、ズレる、斜めになる、そして焦る。この負のループに入ります。
うまくいかない原因は、力不足ではなく固定の考え方を知らないこと。クランプや万力のような道具は、作業を楽にするためというより、「両手を自由にするため」に使います。材料がしっかり固定されていれば、切る・穴をあける・締めるといった作業は一気に安定します。逆に言えば、固定が甘い状態で正確な作業をしようとする方が無理があります。
もう一つありがちなのが、「固定したつもり」になっているケース。実際には、締め付けが甘かったり、当て木なしで直接挟んでいたりして、少し力をかけると動いてしまう。最初は完璧を目指さなくていいので、軽く触って動かないかを必ず確認するだけでも失敗は減ります。
材料がうまく固定できないときは、「自分の段取りが悪い」と落ち込む必要はありません。固定は技術ではなく準備です。ここを意識できるようになると、作業全体の精度と安全性が一段上がります。具体的なクランプの選び方や固定のコツについては後半でまとめて紹介しますが、まずは「固定できていない状態で作業しない」ことだけ覚えておいてください。
クランプや万力を使った安全な固定方法については、こちらでまとめています👇
⑦ 工具が怖い・音がうるさい
DIYを続けるかどうかを左右するのが、この「怖さ」です。音が大きい、刃がむき出し、回転が速い。初めて電動工具を手にしたとき、多くの人が一瞬ためらいます。実はこの感覚、かなり健全です。危険を感じ取れている証拠だから。
問題なのは、「怖い=自分には向いていない」と思ってしまうこと。実際には、怖さの正体は経験不足よりも情報不足であることがほとんどです。どう動くのか、どこが危ないのか、何をすると危険なのか。それが分からないまま音と見た目だけに向き合うと、必要以上に身構えてしまいます。
もう一つ、音の問題も大きいです。特にグラインダーやインパクトは、想像以上に音が出ます。ここで「近所迷惑かも」「うるさすぎる」と気持ちが引いてしまう人も多い。でもこれは、工具の良し悪しではなく環境と対策の問題。時間帯や場所、防音の工夫でかなり軽減できます。
怖いと感じたら、無理に慣れようとしなくていい。まずは「なぜ怖いのか」を一つずつ分解すること。そこが分かれば、対処は必ず見つかります。具体的な安全対策や音への向き合い方は後半でまとめますが、ここでは一つだけ。怖いと感じる自分は間違っていない、それだけ覚えておいてください。
音が出る工具との付き合い方や、安全に使うための考え方はこちらで詳しく紹介しています👇

⑧ 力加減が分からず失敗する
DIYを始めたばかりの頃は、「どれくらい力を入れればいいのか」がまったく分かりません。ネジを締めるときも、削るときも、押すべきなのか、抑えるべきなのか迷いながら手を動かすことになります。その結果、締めすぎてネジを壊す、削りすぎて戻せなくなる、素材ごと割ってしまう。これも、かなり多い“困った”です。
ここで覚えておいてほしいのは、力加減はセンスではなく経験値だということ。最初からちょうどいい力で作業できる人はいません。慣れている人も、素材や工具が変われば必ず一度は失敗します。ただ、経験を重ねると「これ以上はいけない」という違和感に早く気づけるようになる。それだけの差です。
初心者がやりがちなのは、「失敗しないように最初から強くいく」こと。でも実際にはその逆で、最初は弱く、様子を見ながら足していくほうが、失敗は圧倒的に減ります。ネジなら一度止めて確認する、削るなら少しずつ当てる。そのワンクッションが、致命的なミスを防いでくれます。
力加減が分からないと感じたら、「自分は不器用だ」と決めつけなくていい。今はただ、加減を覚えている途中なだけ。この感覚が身についてくると、作業全体が一気に楽になります。
締めすぎや削りすぎを防ぐ考え方については、こちらの記事も参考になります👇
⑨ 失敗したあと、どうリカバリーすればいいか分からない
DIYで一番つらいのは、失敗そのものよりも「このあとどうすればいいか分からない」状態です。切りすぎた、穴をズラした、ネジを潰した。ここまでは誰でも起きますが、その先で手が止まると、一気に気持ちが折れます。
多くの初心者が「やり直し=最初から全部作り直し」と思いがちですが、実際にはそんなケースは少数派です。削り直す、埋める、部品を交換する、固定方法を変える。DIYには必ず“戻る道”が用意されているのに、それを知らないだけで詰んだ気分になってしまいます。
慣れている人は、失敗した瞬間に「じゃあ次はどう逃がすか」を考えています。これは才能ではなく、引き出しの数の違い。リカバリーの選択肢を一つでも知っていれば、失敗は致命傷になりません。後半では、ネジ・穴・寸法ズレなどの代表的な失敗について、具体的な立て直し方をまとめますが、まずは「失敗しても終わりじゃない」という感覚を持っておいてください。
ネジ・穴・寸法ズレなど、失敗後の具体的なリカバリー方法はこちらでまとめています👇
⑩ そもそも何から調べればいいか分からない
DIY初心者が最後にぶつかるのが、この状態です。トラブルは起きているのに、検索ワードが思いつかない。何が原因かも分からず、気づけば時間だけが過ぎていく。これはスキルの問題ではなく、整理の問題です。
DIYは工程が多く、困りごとが連鎖しやすい。だから「ネジが回らない」のか、「サイズが違う」のか、「固定が甘い」のか、まず切り分ける必要があります。原因を一段階だけ分解できれば、調べる方向は自然に見えてきます。
ToolsStepでは、工具の解説よりも「どこで詰まりやすいか」を起点に記事を作ってきました。それは、調べ方が分からない瞬間こそ、一番助けが必要だからです。もし何から手を付けていいか分からなくなったら、今どこで困っているのかを一つだけ言葉にしてみる。それが、前に進む最初の一歩になります。
ToolsStepの中で、初心者が最初に読んでほしい記事はこちらです👇
まとめ|「困った」はDIYが一段階進む合図
DIYを始めると、思った以上にうまくいかない瞬間が続きます。ネジが回らない、切ったら曲がる、穴がズレる、寸法が合わない。最初はそれだけで「向いてないのかも」と感じてしまいがちですが、この記事で見てきたように、それらはすべて初心者だけが特別に抱える問題ではありません。
むしろ、DIYを続けている人ほど、似たような“困った”を何度も経験しています。違いがあるとすれば、そのたびに立ち止まって原因を整理できるか、無理に押し切ってしまうか。その判断の差だけです。うまい人は失敗しない人ではなく、失敗したあとに戻り方を知っている人です。
今回挙げた10個の困りごとは、どれか一つでも「これ、自分だ」と感じたなら十分意味があります。今すぐ全部を解決できなくても構いません。大事なのは、「困るのは普通」「必ず抜け道はある」という前提を持っておくこと。それだけで、次に同じ場面に出会ったときの落ち着き方が変わります。
ToolsStepでは、工具のスペックよりも、こうした“つまずく瞬間”を起点に情報を整理してきました。もし作業中に手が止まったら、今日読んだ内容を思い出してみてください。どこで困っているのかが一段階言葉にできれば、それはもう前進です。
DIYは、完璧に作ることよりも、困りながら続けられることのほうがずっと大切。この記事が、そのための小さな地図になれば嬉しいです。


















