ボルトやナットを回しているのに、いつまでたっても締まらず、クルクルと空回りしてしまうことがあります。
反対に、外したいのにボルトとナットが一緒に回ってしまい、まったく緩まないケースもあります。一口に「空回り」といっても、ボルト側のネジ山がつぶれている場合、ナットやネジ穴側が傷んでいる場合、裏側のナットや固定部分まで共回りしている場合など、原因はひとつではありません。
原因を見誤ったまま力をかけ続けると、まだ残っているネジ山まで削れてしまったり、ボルトの頭をなめたり、最悪の場合は切断しなければ外せなくなることもあります。まずは、締める時に空回りしているのか、外す時に共回りしているのか、どの位置で手応えがなくなるのかを確認することが大切です。
私も、所有しているヤマハのバイク「SR400」で、後輪側のサスペンションを固定している部分のネジ山を傷めたことがあります。一般的な取り外せるボルトではなく、車体側に固定されたスタッド状の部分だったため、ナットを新品に交換するだけでは直りませんでした。その時は、ダイスを使って残っているネジ山を整えています。
この記事では、ボルト・ナットが空回りする原因の見分け方から、締める時と外す時の対処法、ワッシャーを使う方法、ダイスやタップによるネジ山修正、リコイルや部品交換が必要になる状態まで順番に解説します。
「なぜ回り続けるのか」が分かれば、必要以上に壊さず対処できる可能性は高くなると思います。
ボルト・ナットが空回りする状態とは
ボルトやナットの空回りには、いくつか異なる状態があります。
ナットを締めても固定されず回り続ける場合もあれば、外そうとした時にボルトとナットが一緒に回ってしまうこともあります。また、サビや固着で回らない状態や、ボルトの頭をなめて工具が滑る状態も、見た目だけでは空回りと混同しやすい症状です。
対処法を選ぶ前に、まずは「何が回っていて、何が動いていないのか」を確認するとよいかもしれません。
締めても固定されず回り続ける状態
ナットを締めているのに、いつまでも手応えが強くならず、同じ位置でクルクルと回り続けることがあります。
正常なボルトとナットであれば、ナットが奥まで進むにつれて部品同士の隙間が狭くなり、少しずつ回す力が重くなります。ところが、ボルト側またはナット側のネジ山がつぶれていると、互いの山がかみ合わず、締め付ける力が生まれません。
見た目ではナットが取り付いているように見えても、部品を押さえる力はほとんどかかっていない場合があります。指で部品を動かした時にガタつく、ナットを押し引きすると上下に動く、締めてもナットの位置が変わらないといった症状があれば、ネジ山の損傷を疑います。
途中までは正常に締まり、ある位置から空回りする場合は、ボルトの一部分だけネジ山が傷んでいる可能性があります。反対に、最初からほとんど抵抗なく回る場合は、ボルトまたはナットの山が広い範囲で削れているかもしれません。
この状態で「もう少し回せば締まるかもしれない」と工具に力をかけ続けると、残っていたネジ山まで削れてしまいます。締め付けの手応えが突然なくなった時点で、いったん作業を止めた方が安全です。
外したいのにボルトとナットが共回りする状態
ボルトを緩めようとした時に、反対側のナットまで一緒に回ってしまうことを共回りといいます。
ボルトとナットが同じ方向へ動くため、どれだけ回してもネジのかみ合う位置が変わらず、ボルトは抜けてきません。見える位置にナットがあるなら、片側をレンチで固定しながら反対側を回せますが、裏側が見えない場所では厄介ですよね。
車やバイク、家具、家電などには、裏側のナットが溶接されていたり、薄い金属板や樹脂部品に埋め込まれていたりする構造があります。こうした固定部分が外れると、表側からボルトを回した時に内部のナットまで一緒に動いてしまいます。
回すたびに内部からカタカタと音がする、ボルトの頭が少し浮く、押さえると奥へ引っ込むといった動きがあれば、固定されていたナットが外れている可能性があります。
一方で、ネジ山がつぶれたために、同じ場所でボルトだけが回り続けている場合もあります。共回りなのかネジ山の空回りなのか分からない時は、ボルトを回しながら裏側のナットや取り付け部品の動きを観察すると判断しやすくなると思います。
裏側まで動いているなら、回す力を増やしても状況はほとんど変わりません。必要なのは、反対側を止める方法です。
空回りと固着・ボルト頭のなめは別の症状
ボルトが外れない時、すべてを空回りと考えるのは避けた方がよいでしょう。
サビや熱、汚れによってボルトとナットが固着している場合は、そもそもネジがほとんど動きません。工具に力をかけても硬いままで、ボルトとナットが一体になったような手応えがあります。
ボルトやネジが固くて回らない場合は、潤滑剤の使い方や工具のかけ方を以下の記事で紹介しています。

空回りは回しても締まらない、または抜けてこない状態です。固着は回したくても回らない状態なので、必要な対処は異なります。
また、ボルトの六角部分やプラスネジの溝をなめると、工具だけが滑ってボルト本体が回りません。これも「空回りする」と表現されることがありますが、壊れているのはネジ山ではなく、工具をかける頭の部分です。
ネジ頭をなめて工具がかからない場合は、空回りとは対処法が異なります。状態別の外し方は、以下の記事で詳しく解説しています。

確認する時は、工具だけが滑っているのか、ボルト本体が回っているのかを見ます。ボルト本体が動いていないなら、ネジ山修正用のダイスやタップを用意しても解決しません。
締まらない、抜けない、回らない。似ているようで、この3つは別の症状です。
ボルト・ナットが空回りする主な原因
ボルトやナットが空回りする原因は、大きく分けると「オス側のネジ山」「メス側のネジ山」「固定されているはずの部品」のどこかに異常がある場合です。
見た目では同じようにクルクル回っていても、壊れている場所によって修理方法は変わります。ナット交換だけで済むケースもあれば、ダイスやタップによる修正、部品そのものの交換が必要になることもあります。
ボルトやスタッド側のネジ山がつぶれている
ボルトやスタッドボルトの外側に刻まれている山を、オス側のネジ山と呼びます。
この部分が削れたり、押しつぶされたりすると、ナットを回しても正常にかみ合いません。ナットが同じ位置で回り続けたり、少し締まったところで急に手応えがなくなったりします。
原因として多いのは、ナットを斜めに入れたまま工具で締め込む斜め締めです。最初の数山が正しくかみ合っていない状態で力をかけると、ネジ山同士がぶつかり、柔らかい方から削れていきます。
締めすぎも原因になります。ボルトには太さや材質ごとに耐えられる力があり、それを超えるとネジ山が変形したり、ボルト自体が伸びたりします。長いレンチを使うと小さな力でも強い締め付けになるため、細いボルトでは特に注意が必要です。
サビや汚れが付着したままナットを回した時も、ネジ山を傷めることがあります。固着した部分を無理に通過させようとすると、サビや金属粉が刃物のように働き、山の角を削ってしまうためです。
工具やボルトに発生したサビの落とし方は、以下の記事でも詳しく解説しています。

傷んだ範囲が先端付近だけなら、ダイスで整えられる可能性があります。しかし、ネジ山が全体的に細くなり、谷と山の形がほとんど分からない状態では、削り直す材料が残っていません。
指で触った時に山の引っかかりが弱く、ナットを横へ動かすとガタつくなら、修正より交換を考える状態です。
ナットやネジ穴側のネジ山が傷んでいる
ナットの内側や、部品本体に開けられたネジ穴はメス側のネジ山です。
ボルト側がきれいに見えても、メス側が削れていれば締め付けることはできません。ナットの場合は内部が見えにくいため、外観だけでは傷み具合を判断しにくいことがあります。
取り外せるナットなら、同じサイズとピッチの新品に交換して確認するのが早い方法です。新品では正常に締まるなら、元のナット側に原因があったと判断できます。
注意したいのが、アルミや樹脂など、鉄より柔らかい材料に直接ネジ穴が切られている場合です。エンジン部品、バイクの外装、家電製品、家具などには、このような構造がよく使われています。
柔らかい材料のネジ穴へ強い力をかけると、ボルト側は無傷のまま、穴の内側だけが削れることがあります。締め付けていた途中で「スッ」と手応えがなくなった場合は、メス側の山が抜けた可能性も否定できません。
サイズやピッチの違うボルトを無理に入れた時も同様です。太さが近いと途中まで入ることがありますが、山の間隔が合っていないため、内部では互いのネジ山を押しつぶしています。
ナットなら交換で済みますが、部品本体のネジ穴を壊すと話は簡単ではありません。タップで整える、ひと回り大きなサイズに切り直す、リコイルを入れるといった修理が必要になります。
裏側のナットや固定部分が一緒に回っている
ネジ山自体に大きな損傷がなくても、ナットを固定している部分が壊れると共回りします。
通常のボルトとナットなら、表と裏から別々の工具をかけて締めたり緩めたりできます。しかし、製品によっては作業しやすいように、裏側のナットがあらかじめ溶接されていることがあります。
この溶接が外れると、表側からボルトを回した時にナットまで一緒に回ります。外からナットに工具をかけられない構造では、ボルトを何回回しても抜けてきません。
樹脂部品に埋め込まれた金属ナットや、薄い板に圧入されたナットでも同じことが起こります。締めすぎや経年劣化によって周囲の樹脂が割れたり、金属板が変形したりすると、ナットを支えられなくなります。
家具に使われる鬼目ナットやインサートナットも、木材側が崩れるとナットごと回ります。ボルトだけを見ているとネジ山の不具合に思えますが、実際に壊れているのはナットを保持している周囲の材料です。
この状態では、潤滑剤を吹きかけても根本的には解決しません。裏側を押さえる、隙間からバイスプライヤーでつかむ、部品を引っ張って摩擦を増やすなど、回っているナットそのものを止める必要があります。
ボルトを回すたびに奥から音がするなら、ネジ山より先に固定部分を疑います。
どこが壊れているか確認する方法
ボルトやナットが空回りしている時は、すぐに修正工具を使うより、まずオス側とメス側のどちらに原因があるのかを切り分けます。
見た目だけでは判断しにくくても、新品のナットや正常なボルトを使えば、壊れている場所をかなり絞れます。確認をせずにダイスやタップを通すと、問題のないネジ山まで削ってしまうこともあるため、順番が重要です。
なお、ボルトやナットを試す時は、必ず径だけでなくネジピッチも合わせます。同じM10でもピッチが違えば正常には入りません。
新品のナットを入れてオス側を確認する
ボルトやスタッドのネジ山が見えていて、ナットを取り外せる状態なら、同じサイズとピッチの新品ナットを入れて確認します。
新品ナットが手でスムーズに入るなら、ボルト側のネジ山は大きく傷んでいない可能性があります。反対に、途中で引っかかる、斜めになる、同じ位置で空回りするといった症状が出るなら、オス側に変形や摩耗があると考えられます。
確認する時は、最初からレンチやソケットを使わず、指で回します。正常なネジ山なら、少なくとも最初の数回転は大きな力をかけなくても進みます。
ナットが途中から急に重くなる場合は、その位置のネジ山にサビやつぶれがあるかもしれません。いったん外し、ボルトを一周させながら山の高さや形を見ます。金属粉が付着している場合は、すでにネジ山同士が削れ始めているサインです。
ただし、手元にあるナットを適当に試すのは危険です。径が同じように見えても、細目と並目、インチネジとミリネジなど、似ていて合わない組み合わせがあります。
新品ナットが正しく通るかどうか。それだけでも、オス側の状態はかなり見えてきます。
別のボルトを入れてメス側を確認する
ナットではなく、部品本体に切られたネジ穴が空回りしている場合は、同じサイズとピッチの正常なボルトを入れて確認します。
元のボルトだけが傷んでいるなら、新しいボルトは手でまっすぐ入っていきます。新しいボルトでも途中で引っかかる、斜めに入る、締めても手応えが出ない場合は、ネジ穴側に問題がある可能性が高いです。
ここでも、最初から工具を使ってはいけません。ボルトを指で軽く押さえながら逆方向へゆっくり回すと、ネジ山の始まりが合った瞬間にわずかな段差を感じることがあります。そこから締める方向へ回すと、斜めに入りにくくなります。
ネジ穴の奥にサビ、砂、塗料、古いネジロック剤などが残っていると、損傷していなくてもボルトが入りにくい場合があります。エアダスターやブラシで汚れを取り除くだけで改善することもあります。
一方、ボルトを押し込むと入るのに、回しても締め付けが強くならない場合は、穴の内側の山が抜けている可能性があります。特にアルミや樹脂のネジ穴では、外から見ただけでは分かりません。
正常なボルトを入れても結果が変わらないなら、交換するべきなのはボルトではなくネジ穴側です。
ネジ山のつぶれ方と傷んでいる範囲を見る
オス側かメス側かを切り分けたら、次に傷んでいる範囲を確認します。
ボルト側では、ネジ山の一部だけが平らになっていないか、山の先端が丸くなっていないか、縦方向に削れた跡がないかを見ます。正常な部分と比べると、傷んでいる位置が分かりやすくなります。
先端の数山だけが傷んでいるなら、ダイスやネジ山修正ヤスリで整えられる可能性があります。途中の一部分だけなら、ワッシャーを入れてナットの止まる位置をずらせる場合もあります。
ただし、ボルト全体の山が低くなっている、谷との境目が分からない、ナットをかけた状態で横方向に大きく動く場合は、軽い修正で戻せる状態ではありません。
メス側では、ネジ穴の入口だけが変形しているのか、奥まで山が削れているのかを確認します。ライトを当てても見えにくい場合は、取り外したボルトに金属粉が付いていないか、ネジ山の間に柔らかい材料が詰まっていないかも手がかりになります。
また、ナットやボルトを数回転させた時に、どこで手応えが変わるかも重要です。最初から空回りするのか、途中からなのか、最後の位置だけなのかで、損傷箇所は変わります。
ネジ山が残っている場所と、すでに削れている場所。この境目を見つけることが、次の対処を選ぶ基準になります。
締める時に空回りする場合の対処法
ボルトやナットを締めても固定されず、同じ位置で回り続ける場合は、ネジ山の一部が傷んでいる可能性があります。
この時に重要なのは、どこまでネジ山が残っているかです。先端付近だけがつぶれているのか、途中の一部だけが削れているのか、全体的に山がなくなっているのかで、使える方法は変わります。
まだ正常なネジ山が残っているなら、ワッシャーを使ってナットの位置をずらす方法が使える場合があります。しかし、どの状態でもワッシャーを入れれば直るわけではありません。
ナットやボルトを新品に交換した方が早いこともありますし、足回りやエンジン周辺のように強い力がかかる場所では、応急処置のまま使い続けない判断も必要です。
ワッシャーを追加して正常なネジ山を使う
ボルトやスタッドの一部分だけネジ山が傷んでいる場合は、ワッシャーを追加してナットが止まる位置を変える方法があります。
たとえば、ナットを締め込んだ一番奥の部分だけが空回りする場合、その手前には正常なネジ山が残っていることがあります。ワッシャーを1枚入れると、ナットが傷んだ位置まで進まず、少し手前のネジ山で締まる可能性があります。
この方法が使えるのは、あくまで損傷が一部分に限られている場合です。ナットが通る範囲全体の山が削れているなら、位置をずらしても状況は変わりません。
作業前には、ワッシャーを入れない状態でナットがどこまで進み、どの位置から空回りするのかを確認します。傷んだ場所がナットの最終位置付近にあるなら、ワッシャーを追加する意味があります。
ワッシャーを入れる時は、ボルト径に合った平ワッシャーを使います。穴が大きすぎるものでは部品を均等に押さえにくく、穴が小さければ当然入りません。外径が小さすぎると、薄い板や柔らかい部品へ力が集中することもあります。
ここで注意したいのは、ワッシャーを増やすほど安全になるわけではない点です。枚数を増やすとナットの位置が手前へ移動しますが、その分だけナットにかかるネジ山の長さが短くなります。
ナットがネジ山に数回転しか入っていない状態では、見た目は締まっていても十分な固定力を得られません。使用中の振動や荷重で、残っている山まで抜けることがあります。
また、平ワッシャーとスプリングワッシャーは役割が違います。平ワッシャーは力を広く受けるための部品で、スプリングワッシャーは緩み止めを目的として使われます。傷んだネジ山の位置を避ける目的なら、まず考えるのは平ワッシャーです。
1枚追加しただけで正常な手応えが戻り、ナットが十分な長さまでかかるなら、応急的に使える場合があります。何枚も重ねないと締まらないなら、そのボルトやスタッドはすでに別の修理が必要な状態です。
ナットやボルトを新品に交換する
取り外せるボルトやナットなら、修正する前に新品交換を試す方法があります。
ナット側だけが傷んでいる場合は、同じサイズとピッチの新品へ交換するだけで正常に締まることがあります。ボルトのネジ山に大きな損傷がなければ、作業も難しくありません。
反対に、新品ナットを入れても途中で引っかかったり、同じ位置で空回りしたりするなら、ボルト側にも傷みがあると判断できます。
ボルトを交換できる構造なら、新品ボルトと新品ナットを一緒に使う方が確実です。片方だけを交換しても、古いネジ山の変形によって新品側を傷めることがあります。
交換する部品は、太さだけでなく長さ、ネジピッチ、強度区分も確認します。見た目が似ているボルトでも、長さが足りなければナットに十分かからず、長すぎれば奥の部品へ当たることがあります。
車やバイクに使われるボルトでは、頭の部分に強度を示す数字が刻印されている場合があります。元より弱いボルトへ安易に交換すると、締め付け時や使用中に変形するおそれがあります。
手元にある「入りそうなボルト」を代用するのは避けた方がよいでしょう。ミリネジとインチネジ、並目と細目は、少し回っただけでは違いに気づかないことがあります。
小さいサイズのナットを無理にねじ込む方法も適切ではありません。たしかに、削れたスタッドにひと回り小さいナットが食い込むことはあります。しかし、それは本来のネジ山で締めているのではなく、金属を無理に削りながら固定している状態です。
再び外すことが難しくなるうえ、スタッドそのものをさらに細くしてしまう可能性があります。
正常な新品部品へ交換できるなら、それが最も単純で確実な対処です。
応急処置で済ませてよい場所か判断する
ワッシャーの追加や、残っているネジ山を使った締め付けで一時的に固定できても、そのまま使用してよいかは別の話です。
家具の飾り部品や、ほとんど荷重がかからないカバーの固定なら、状態を確認しながら一時的に使えることもあります。緩んでも大きな事故につながりにくい場所であれば、修理までの応急処置として考えられます。
一方、車やバイクの足回り、ブレーキ周辺、ハンドル、エンジン、回転部品などでは、同じ考え方はできません。
こうした場所は、走行中の振動や衝撃、繰り返し荷重を受けます。作業直後に手で揺らして動かなかったとしても、実際の使用中にははるかに強い力がかかります。
ナットが十分なネジ山にかかっているか、締め付けた位置でボルトが斜めになっていないか、部品同士に隙間が残っていないかも見ます。締めた後にマーキングしておけば、使用後にナットが動いたか確認しやすくなります。
ただし、マーキングは緩みを見つけるためのもので、傷んだネジ山を補強するものではありません。
ネジ山が一度つぶれた場所では、正常な状態より保持力が落ちている可能性があります。特にオス側のスタッドが細くなっている場合、締め付けられたように見えても、強い力がかかった瞬間に山が抜けることがあります。
「締まったから直った」ではなく、「その固定部分に必要な強度が戻ったか」で判断します。
外れても困らない場所と、外れたら危険な場所。同じ空回りでも、許される対処はまったく違います。
外す時にボルト・ナットが共回りする場合の対処法
ボルトを外したいのに、裏側のナットや固定部分まで一緒に回ってしまう場合は、ただ回し続けてもほとんど前へ進みません。
必要なのは、回っている側を止めることです。表と裏の両方へ工具をかけられるなら比較的簡単ですが、裏側が見えない、溶接ナットが外れている、樹脂に埋め込まれたナットが空転しているといった場合は、別の方法を考えなければなりません。
まずはボルトとナットの動きを観察し、どの部品まで一緒に回っているのかを確認します。
反対側をレンチやバイスプライヤーで固定する
裏側のナットが見える場合は、片側を工具で固定し、反対側だけを回します。
基本的には、ボルトの頭にソケットやメガネレンチ、ナット側にスパナや別のメガネレンチをかけます。片側をしっかり止めた状態で、もう片方を緩める方向へ回せば、ボルトとナットの位置関係が変わって外れてきます。
工具は、できるだけ六角部分へ深くかけます。浅くかかった状態で強い力を加えると、工具が外れたり、ボルトやナットの角をなめたりします。サイズが少しでも合わないモンキーレンチを無理に使うより、適合するメガネレンチやソケットを選んだ方が確実です。
狭い場所では、薄型スパナや首振りラチェット、ディープソケットが役立つことがあります。一般的な工具では厚すぎて入らなくても、形状を変えるだけでナットを押さえられる場合があります。
ナットの角がすでに丸くなっている時は、バイスプライヤーで強くつかんで固定する方法もあります。通常のペンチでは、強く力をかけた時に滑りやすく、手をぶつける危険があります。
バイスプライヤーは、握っただけで固定できる工具ではありません。調整ネジで開き幅を合わせ、ハンドルを握った時にしっかりロックされる強さへ調整します。
ただし、再使用するナットをバイスプライヤーでつかむと、表面や角を傷めることがあります。交換する前提の部品に向いた方法です。
裏側のナットを止められれば、共回りの問題はそこで解消します。
引っ張る・こじる力を加えながら回す
裏側のナットを直接押さえられない場合は、ボルトや取り付け部品を引っ張りながら回すことで、ナットの共回りを抑えられることがあります。
ナットが薄い板や樹脂に埋め込まれている場合、ボルトを手前へ引くとナットが周囲の部品へ押し付けられます。そこで生まれた摩擦によってナットが一時的に止まり、ボルトだけを回せることがあります。
ボルトの頭と部品の間に隙間があるなら、マイナスドライバーや内張りはがし、薄いバールなどを差し込み、軽く手前へ力をかけます。その状態を保ちながら、レンチやラチェットでボルトを緩めます。
ドライバーを差し込む時は、部品の縁を直接強くこじらないようにします。塗装面や樹脂部品では傷がつきやすいため、薄い板やウエスを当てると力が一点へ集中しにくくなります。
ボルトの頭をペンチやバイスプライヤーでつかめるなら、引っ張りながら回す方法もあります。ただし、ボルトの頭が六角のまま残っているなら、回転はレンチに任せ、ペンチは引くためだけに使った方が滑りにくくなります。
溶接ナットが外れて内部で回っている場合も、ボルトを強く手前へ引くことで、外れたナットが裏側の板へ押し付けられることがあります。その瞬間だけ摩擦が増えれば、少しずつ緩むかもしれません。
一度に外そうとせず、半回転ずつ進めては引き直します。数回転進むとボルトの軸が見え始め、さらに工具をかけやすくなることもあります。
逆に、こじるたびに周囲の板が大きく変形するなら、そのまま続けるべきではありません。ボルト一本を外すために、取り付け部品全体を壊してしまう可能性があります。
摩擦を利用して止める方法なので、ナットの固定が完全に失われている場合には通用しません。
外れない場合は切断やナット破壊を検討する
工具で固定できず、引っ張りながら回しても外れない場合は、ボルトやナットを再使用しない前提で破壊して外す方法を考えます。
まず試しやすいのは、金ノコでボルトを切る方法です。電動工具ほど速くはありませんが、火花が出にくく、周囲の部品へ与える熱も比較的少なく抑えられます。刃を入れる隙間がある場所なら、少し時間をかけて切断できます。
おススメ金ノコ、自分んもこれ使ってますね。
ナットが見えている場合は、ナットブレーカーを使う方法もあります。ナットへ工具をかぶせ、先端を食い込ませて割るため、ボルトの軸を大きく傷めずに外せることがあります。
ただし、ナットブレーカーを入れるスペースが必要です。奥まった場所や周囲に障害物がある部分では使えません。
グラインダーを使えば短時間で切断できますが、火花と熱が発生します。燃料ホース、電気配線、樹脂部品、ゴム部品、塗装面が近くにある場合は、養生だけで安全を確保できるとは限りません。
グラインダーを使ってボルトを切断する場合は、火花が飛ぶ方向やカバーの向きも確認しておきます。火花対策については、以下の記事で詳しく解説しています。

自分は、グラインダーは普段使いで、これを使用しています。
車やバイクでは、燃料が漏れていないことを確認し、火花が飛ぶ方向にも気を配ります。バッテリーや電装部品が近い場所では、切粉が入り込むこともあります。
ボルトの頭を削り落とす方法もあります。頭がなくなれば取り付け部品を外せるため、その後で残った軸やナットを処理します。ドリルでボルト頭を削る場合は、中心からずれると周囲の部品まで傷つけます。
サビで固着している時は、切断へ移る前に浸透潤滑剤を使い、時間を置く方法もあります。浸透潤滑剤は、外れたナットを固定するものではありませんが、ボルトとナットの固着が弱まれば、引っ張りながら回す方法が効くことがあります。
サビによる固着も起きている場合は、切断する前に浸透潤滑剤を吹きかけ、しばらく時間を置いてから再び回します。
最後まで外れないボルトは、壊さずに救出しようとするほど周囲の被害が大きくなる場合があります。
交換部品を用意できるなら、どの段階で見切りをつけるかも作業の一部です。
なめたネジ山を修正する方法
ボルトやナットが空回りしている原因がネジ山の損傷だと分かったら、傷んでいるのがオス側かメス側かで使う工具を分けます。
ボルトやスタッドの外側ならダイスやネジ山修正ヤスリ、ナットや部品のネジ穴側ならタップやリコイルが主な選択肢です。
ただし、これらの工具は、なくなったネジ山を完全に元へ戻すものではありません。つぶれや変形を整える工具と、失われたネジ山を作り直す工具は役割が違います。
修正できる範囲を超えているのに無理に加工を続けると、残っていた山まで削り落としてしまいます。
オス側はダイスやネジ山修正ヤスリで直す
ボルトやスタッドの外側にあるネジ山がつぶれた場合は、ダイスを使って山の形を整えます。
ダイスは、丸い工具の内側に刃が付いており、ボルトへ通して回すことで、変形した部分やサビを削りながらネジ山を整える工具です。
ボルト側とネジ穴側の両方を修正するなら、タップとダイスが一緒になったセットが使いやすいです。
使う前に、ボルトの直径とネジピッチを確認します。たとえば同じM10でも、並目と細目では山の間隔が違います。合わないダイスを無理に入れると、修正どころか別のネジ山を刻んでしまいます。
ピッチが分からない時は、ピッチゲージを当てる方法があります。取り外した正常なナットがあるなら、そのナットと同じ規格か確認するのもひとつの方法です。
ダイスには向きがあります。一般的には、入口側に面取りがあり、ネジ山へ入りやすい形になっています。裏表を間違えると最初の数山がかかりにくく、斜めに入る原因になります。
作業する時は、ボルトをできるだけ安定させ、ダイスを軸に対して直角に当てます。最初からハンドルに強い力をかけるのではなく、軽く押しながらゆっくり回し、元のネジ山へ正しくかかっているかを見ます。
ダイスを通すスペースがない場合や、ネジ山の一部分だけがつぶれている時は、ネジ山修正ヤスリを使う方法もあります。
最初の一回転が斜めに入ると、その後も曲がったまま進みます。少し回しただけで一方向へ傾く、片側だけ強く抵抗が出るといった場合は、いったん外してやり直します。
切削油や工具用オイルを付けると、刃が滑らかに進みやすくなり、焼き付きやかじりも抑えられます。何も付けずに乾いた状態で回すと、削りカスが溝へ詰まり、ネジ山の表面を荒らすことがあります。
回し方は、少し進めたら少し戻すのが基本です。前へ進めることで金属を削り、戻すことで削りカスを細かく切ります。
たとえば半回転から一回転進めたら、少し逆へ戻します。抵抗が急に強くなった時は、そのまま力で押し切らず、いったん外して削りカスを取り除きます。
ダイスを最後まで通した後は、ブラシやエアダスターで金属粉を取り、同じサイズの正常なナットを手で入れて確認します。工具を使わなくても滑らかに進み、途中で引っかからなければ修正できている可能性があります。
ネジ山修正ヤスリは、ダイスを入れにくい場所や、一部だけ山がつぶれている時に使います。
ヤスリの面には異なるネジピッチの溝が付いているため、修正したいネジ山に合う面を選び、元の山に沿って動かします。先端だけが変形したボルトや、部品に付いたままでダイスハンドルを回せないスタッドにも使えることがあります。
ただし、手作業なので削り方に差が出ます。山を深く作ろうとするのではなく、変形して盛り上がった部分を落とし、ナットが通れる形へ戻すイメージです。
山の高さそのものが失われている場合は、ダイスを通してもヤスリをかけても、元の太さには戻りません。
メス側はタップやリコイルで直す
ナットの内側や部品本体のネジ穴を傷めた場合は、タップを使ってネジ山を整えます。
タップは、棒状の工具に切削用の溝があり、ネジ穴へ入れて回すことで、内側の山を切る工具です。
軽い変形やサビ、汚れによる引っかかりなら、同じ規格のタップを通すことで再びボルトが入るようになることがあります。
作業前に、穴の中へ折れたネジ片や金属粉、塗料、古いネジロック剤が残っていないか確認します。奥が見えないからといって、そのままタップを押し込むと、異物を穴の奥へ押し固めることがあります。
タップも、ボルト径とピッチに合ったものを選びます。途中まで入ったから合っているとは限りません。ピッチが違うタップでも、入口の一山程度はかかってしまうことがあります。
ネジ穴へ入れる時は、穴に対してまっすぐ立てます。浅い穴やアルミ部品では、少し斜めになっただけでも、元の山を削りながら別方向へ進んでしまいます。
切削油を付け、少し進めて戻す動きを繰り返します。削りカスが溝へたまったら、無理をせずタップを抜いて掃除します。
細いタップは強い力をかけると折れることがあります。穴の中で折れると、硬い工具鋼の破片が残り、通常のドリルでは簡単に削れません。
特に止まり穴では注意が必要です。止まり穴とは、反対側まで貫通しておらず、奥に底がある穴のことです。
タップを奥まで無理にねじ込むと、先端が底へ当たり、そこで急に回らなくなります。抵抗が増えた時に、ネジ山を切っているのか、底へ当たっているのかを判断しなければなりません。
タップで修正できるのは、元のネジ山がある程度残っている場合です。内側の山が丸ごと削れ、ボルトを押し込むだけで奥へ入る状態では、同じサイズのタップを通しても材料が足りません。
ネジ穴の山が大きく削れ、同じサイズのタップでは修正できない場合は、リコイルキットでネジ穴を再生する方法があります。
その場合に使われるのが、リコイルやヘリサートと呼ばれるネジ山補修方法です。
リコイルでは、傷んだネジ穴を指定された大きさのドリルで広げ、専用タップで新しいネジ山を作ります。そこへコイル状のインサートを入れることで、元と同じサイズのボルトを使えるようにします。
部品全体を交換しなくてもネジ穴を再生できるため、エンジン部品やアルミ製パーツなどで使われます。
ただし、穴を広げる作業があるため、中心がずれるとボルトの位置まで変わります。斜めにドリルを入れれば、取り付ける部品も斜めになり、穴同士が合わなくなることがあります。
周囲に十分な厚みがあるか、奥に別の部品や通路がないかも確認が必要です。エンジンでは、穴の奥にオイル通路や内部部品がある場合もあります。
リコイルは、単に大きな穴を開けてコイルを入れるだけの作業ではありません。穴の位置、角度、深さまでそろって初めて正しく固定できます。
修正できない場合はボルトやスタッドを交換する
ダイスやタップを通しても正常な手応えが戻らない場合は、修正ではなく交換を考えます。
ボルトやスタッドの山が広い範囲で削れ、軸自体が細くなっている場合は、表面を整えても元の強度には戻りません。
ナットが一応締まったとしても、かかっているのが数山だけなら、使用中に再び山が抜ける可能性があります。
一般的なボルトであれば、同じ長さ、径、ピッチ、強度区分の新品へ交換します。ナットも傷んでいる可能性があるため、状態が悪ければ同時に交換します。
スタッドボルトは、部品側へねじ込まれているタイプと、溶接や圧入で固定されているタイプがあります。
ねじ込み式なら、ナットを2個使うダブルナットや、スタッドボルトリムーバーを使って外せることがあります。
ダブルナットでは、2個のナットをスタッドへ入れ、互いに強く締め合わせます。その状態で内側のナットへ工具をかけると、スタッド本体を回せる場合があります。
サビやネジロック剤で固着していると、簡単には動きません。浸透潤滑剤や加熱が使われることもありますが、周囲の材質や部品によっては熱をかけられない場所もあります。
溶接されたスタッドでは、切り落として新しいスタッドを溶接する修理が必要になる場合があります。削れた部分へ溶接で肉盛りし、旋盤やダイスで形を作り直す方法も考えられますが、中心を出して十分な強度を確保するには技術が必要です。
部品本体のネジ穴でも、リコイルを入れるだけの厚みがない、亀裂が入っている、周囲まで変形している場合は、部品交換や溶接修理の範囲になります。
足回り、ブレーキ、ステアリング、エンジンマウントなど、外れた時の影響が大きい部分では、回るようになっただけで修理完了とはいえません。
削れて細くなったネジ山は、見た目以上に保持力を失っています。
私がSR400のスタッド側をなめた時の対処
私も、所有しているヤマハのバイク「SR400」で、後輪側のサスペンションを固定している部分のネジ山を傷めたことがあります。
この部分は、一般的なボルトのように簡単に抜いて新品へ交換できる構造ではありませんでした。車体側からオス側の軸が出ており、そこへサスペンションを通してナットで固定する形です。
ナットだけが傷んでいるなら、新品へ交換すれば済みます。しかし、私の場合はオス側のネジ山が傷んでいたため、ナットを替えるだけでは解決しませんでした。
リアサスペンション固定部のネジ山を傷めた状況
傷めたのは、SR400の後輪側にあるサスペンションを固定する部分です。
車体側からスタッド状の軸が出ていて、そこへサスペンションの取り付け部分を差し込み、外側からナットで締めます。裏側を見ると固定されており、通常のボルトのように頭をレンチで押さえて抜ける構造ではありませんでした。
このような場所でオス側のネジ山をなめると、ナット交換だけでは直りません。傷んでいるのはナットの内側ではなく、車体側に残っている軸そのものだからです。
最初に考えたのは、ワッシャーを追加して、まだ残っているネジ山の位置で固定できないかという方法でした。
ネジ山の先端側だけが傷んでいて、その奥に正常な部分が残っているなら、ワッシャーでナットの止まる位置をずらせる可能性があります。反対に、ナットがかかる範囲全体を傷めていれば、ワッシャーを入れても空回りする位置が変わるだけです。
私のケースでは、単純にナットを新品へ交換して終わり、とはいきませんでした。
ワッシャーやナット交換では直らなかった理由
メス側であるナットだけがつぶれている場合は、新品ナットを入れれば正常に締まることがあります。
しかし、オス側の山が削れていると、新品ナットを使っても、そのナットが傷んだ部分にかかった時点で空回りします。新品だから強く締められるわけではなく、相手側のネジ山が残っていることが前提です。
ひと回り小さいナットを使い、傷んだ軸へ無理に食い込ませる方法も考えられます。実際、削れて少し細くなったスタッドなら、小さなナットが強く食い込むことはあるでしょう。
ただし、それは元のネジ山を利用した固定ではありません。ナットが新しい山を無理に削りながら進む形になり、軸をさらに細くする可能性があります。外したい時に外れなくなることも考えられます。
サスペンションを固定する場所は、車体の重さや走行中の振動を受ける部分です。とりあえず食い込んだから使える、とは判断できません。
正常なネジ山を使える位置が残っているのか。それとも、修正工具を通さなければナットがかからないのか。まずはそこを見ました。
ダイスを使って固定した実体験と反省点
私が実際に使ったのはダイスです。
ダイスをスタッドへ通し、傷んだオス側のネジ山を整えました。本来であれば、ダイスで山を修正したあとに、正しいサイズとピッチのナットを使って固定します。
ただ、私の場合は少し特殊で、最終的にダイスそのものをナットのように使って固定しました。
ダイスの内側にはネジ山を切るための刃があるため、スタッドへねじ込めます。通常のナットでは傷んだ部分にうまくかからなかったものの、ダイスならネジ山を整えながら進められたため、そのまま締め付ける形になりました。
結果として固定はできましたが、これは一般的な修理方法ではありません。
ダイスはネジ山を加工する工具であり、サスペンションを固定するためのナットとして作られているわけではありません。ナットとは厚みや座面の形状、材質、強度の考え方が異なります。
また、ダイスを強く締め付けると、次に取り外す時に刃がネジ山へ食い込み、簡単には外れなくなる可能性もあります。
今振り返ると、ダイスをナット代わりにする前に、修正したネジ山へ正しいナットが十分な長さまでかかるかを、もっと丁寧に確認するべきでした。
もしネジ山がほとんど残っていないなら、スタッドを切り落として新しく溶接する方法や、傷んだ部分へ溶接で肉盛りしてから再びネジ山を作る方法も考えられます。ただし、位置をずらさず、真っすぐな軸を作り、サスペンションを支えられる強度まで戻す必要があります。
私の方法は、オス側を傷めると簡単には交換できないという実例です。
ナットなら替えれば済むことがあります。しかし、車体側に固定されたスタッドをなめると、ダイスで直すのか、溶接修理をするのか、固定部分ごと交換するのかという話になります。
だからこそ、最初にナットを手で入れ、斜めになっていないことを確認してから工具を使う。壊してから直すより、その一手間の方がはるかに簡単です。
まとめ|空回りは原因を切り分けてから対処する
ボルトやナットが空回りした時は、最初に「締めても固定されないのか」「外したいのに共回りしているのか」を確認します。
締める時に空回りするなら、ボルトやスタッドなどのオス側、ナットやネジ穴などのメス側のどちらかでネジ山が傷んでいる可能性があります。外す時に共回りする場合は、裏側のナットや固定部分まで一緒に動いていないかを見ます。
オス側の軽い傷みならダイスやネジ山修正ヤスリ、メス側ならタップで整えられることがあります。ネジ山が大きく削れている場合は、リコイルや部品交換まで考えなければなりません。
ワッシャーを追加して、残っているネジ山を使う方法もあります。ただし、ナットが十分な長さまでかからない場合や、車やバイクの足回りなど大きな力がかかる場所では、応急処置のまま使い続けるべきではありません。
私がヤマハのバイク「SR400」のサスペンション固定部分で経験したように、車体側に固定されたスタッドのネジ山を傷めると、ナット交換だけでは直りません。オス側をなめると、ダイスによる修正、スタッドの交換、溶接修理まで必要になることがあります。
空回りしている状態で力をかけ続けると、まだ使えるネジ山まで失います。手応えがおかしいと感じた時は、いったん止めて、どこが壊れているのかを見極めることから始めます。






